1日1組限定のサウナ付、セレクトショップ宿巣。

動物は、自らの領土にある様々なものを用いて巣を作ります。

ビーバーには、水が流れる音を聞くとそこを堰き止める性質があります。
周囲の木を切り倒し、泥や枯れ枝なども使い、川を横断するように組み上げていきます。
そうしてダムをつくることで土地の環境が大きく変わり、生態系に変化を及ぼします。
川が湖になり、そこに水鳥がやってきたり水草が生えたりするのです。

ところで、落葉落枝、樹木から折れて落ちた枝はゴミと呼ばれることもあります。
私たちが幼く、体も精神も非人間的で動物的だった頃には、その枝を最強の剣や魔法のステッキに変えることができました。
それらは、当時の逞しい想像力と、まだ未分化な現実との関わり方の問題でもあったかも知れませんが、とにかく何の苦も無くそれを楽しめました。

動物から人間になって久しいこともあり、ゴミと名付けその物の終わりを決定することに慣れてきた今日この頃。
ボロボロの空き家を修繕し、一部、災害ゴミを利用してこの宿を完成させました。少しでも環境や生態系に影響を及ぼしていきたいです。

また内部は、全体が寝床として機能する傍ら、瀕死の物たちを集めたアートショップのような展開となっており、宿の建物内にあるものは全て販売しています。

アートってどういう意味なんでしょうね。
科学が変数でもって物の機能を構築している学問で、哲学が概念によって出来事を出現させる学問だとすると、芸術は、感覚を使ってモニュメントを打ち立て、それ自身を保存する学問だと思います。受け売りです。

千年前に描かれた青年の微笑みは、今もなお、その柔らかい笑みを保っています。保存された感覚。誰かの胸を打つ旋律。芸術家は医者のようなものだと言った人もいるようです。

作品はほぼ全て一点もので、作者自らでない限り持ち得ない、類稀なる感覚で産み出された、異常な意匠を取り揃えています。二度と生まれることのないだろう記念碑的な作品の数々をご覧ください。
個人的には、誰かに披露するためのものではなくて、家で、好きな曲を歌って、ニヤリ。とするような。そういう感じが宿ったもの、好きです。

そして、これぞというお気に入りを見つけた暁には、宿泊者様ご自身の巣を作って下さい。空間のほとんどを寝室として使える性質から、至る所に自分の巣を作れます。インテリア・家具、何でもお好きなように動かしまくって最高の感覚を残して下さい。

ー 過ごし方 ー

さて、旅の醍醐味といえば、普段の反復する衣食住からの逃亡です。
逃走線を描く天才、文豪カフカの『変身』では、グレゴール・ザムザが突如よくわからない生き物に変身し、彼と過ごすしかないその家族は大変困惑しましたが、一夜限りのパーティならまあまあ楽しいかも知れません。

そんな、館内着を取り揃えています。

支配人が叫ぶ、「今のを聞いたか?動物みたいだ!」グレゴールの嘆き。

ー 浴場 ー


また、普段とは違った体験の一つとして、サウナもおすすめしています。
日本のお風呂の歴史を遡ると、洞窟内部を温め、そこに入って汗をかく。そんな古代のお風呂があったそうです。
原始の熱ってワードがいいとおもいます。
アースバック工法と呼ばれる土の建築を駆使して洞窟を作り、現代のサウナストーブの力でもって古代のお風呂そのままに進化・発達したかのようなサウナをつくりました。

詳しくは{サウナ発達}まで

ー お食事 ー

「発達」命名の思い入れのひとつに、サ飯(さうなめし【サウナ・飯】 体から失われた水分・塩分・ミネラル等を身体が欲するため、食事が美味しく感じられる現象の総称。)として地元の食材を中心に提供し、この地域と共に発達していきたいという思いがあり、宿の晩ご飯にもその気持ちを強く反映しています。登るぞ。

料理は、基本的には地元のものを使っています。同敷地内にて飲食店をやっているので、がんばって美味しいのセレクトしています。
もしお気に召しましたら、市内の小売店や道の駅などで購入している材料も多いので、帰りに道の駅にでも寄ってご購入頂けると大変嬉しいです。
やっぱり環境に影響を与えるって楽しいわ。私パーティって大好き。火山が噴火した。

地産地消ですって。
こちらでご購入いただけます

  1. 道の駅 なみえ  お車で東京方面に約28分
  2. セデッテかしま  お車で仙台方面に約28分
  3. 浜の駅松川浦   お車で仙台方面に約35分
  4. 道の駅南相馬   お車で約8分

ー 娯楽 ー

●映画・音楽

食事の後は、お酒でも嗜みつつ、映画や音楽も楽しめるよう設計しています。
館内のCDやDVDはどれでも視聴可能です。傷つけないでね。
スピーカーはJBL4429という、新品だと1本27万くらいのミドルクラスなモニタースピーカーを吊ってます(JBLの公称1本32.3kg)。悪態を吐くくらい重かったです。

もちろん、CD,DVD、持ち込みOKです。
RCAも繋げますが、ターンテーブルやテープデッキとか持ち込みたい人は事前に相談していただけると助かります。
座椅子・座布団・ソファを自分のためだけに構成し、是非ベストポジションで鑑賞して下さい。

●アナログゲーム

対人のゲーム、特にアナログゲームでは、一緒にプレイすることで、人柄や人生観が垣間見えるおもしろさがあります。
ジェームズ・ハットンは、1795年『地球の理論』で、岩石や鉱物を分析すれば地球は少なくとも数百万年の時間を経てきたはずだと説いて「現在というのは過去を含んでいるのだ」という仮説を発表しました。斉一説といいます。
その後、チャールズ・ライエル『地質学原理』で斉一説が普遍化。ダーウィンがこの本を携えてビーグル号での航海に出たりするわけですが、それはまた別のお話。
ともかく、人や物には過去が詰まっているようです。地層、汚れ、シワ、傷。こういったものに出会えるツールとしてアナログゲームはいかがでしょうか。ノーモアアンチエイジング。

●本

時間の話になったついでに本の紹介です。
古代のインドでは、時間は流れませんでした。そういう言葉がなく「静止」「持続」「消滅」があるだけのようです。
ギリシア神話のアイオーンやカイロスやクロノスのように、時間といっても民族や地域によっていくつも種類があったそうです。
最近では、直線的な時間の観念が横行していますね。時間に開始と終末を作ったキリスト教のせいでしょうか。
紙の上に鉛筆で左から右に向かってさっと1本の線を引き、点を打ち「ここを現在とすると」といえば、誰もが左は「過去」で、右が「未来」というふうに認識するようになってしまっています。使い勝手はいいんですけどね。ニーチェの永遠回帰やアインシュタインの相対性理論はまだ流行ってませんね。

映画や音楽と違い、本には順番や速度はありますが、時間の制約はありません。
画集の中の一枚の絵を何時間と眺めてもいいですし、ちょっとした短編小説を穴が開くほど読み込んでも。
未だ見ぬ世界を見せる窓であると同時に、固有の世界を構築している本には、その本なりの時間が紡がれているように思います。意識の流れもりもりのユリシーズとかめっちゃ読みづらいですよね。

耳慣れた「時間を忘れられるひととき」というフレーズは、前述の直線的に流れ続ける時間に急かされた人に向けた言葉に感じます。そんな時、少し本を開いてみてはどうでしょう。

『まず、あらゆる動物は自分の世界をもっている。
自分の世界を持たない人間が多いのに。
そうした人間は皆と同じ世界を生きている。
他人と変わらぬ世界だ。』

芸術の要素として、文・画・音があると思います。
動物に当てはめると、線(姿勢)・色・歌になりますね。それが世界を構築するという事です。

一瞥では、外連味たっぷりな施設ではありますが、自分の世界の構築≒巣作りを楽しんでいって下さい。